サレ エル ソル Sale El Sol-

         陽は昇る(スペイン語)                             

      あなたのまちの(愛知県、中部圏)

         経営コンサルタント                         

         モノづくりコンサルタント

        代表     田中茂利          ホームページはこちら  http://saleelsol1.g1.xrea.com/

 

1.私のつぶやき

2019420日〉

 

世の中は今上天皇ご譲位に伴う新元号「令和」の発表で、馥郁なる新時代への期待に心をときめかしています。

天皇陛下のお言葉にもありましたが、「平成が戦争のない平和で豊かな時代であった」ことに、感謝と誇りの念を抱いてもよいのではないでしょうか。

 

平成を振り返ってみますと、文化面では20人もの日本人がノーベル賞を受賞し、スポーツ面でも大勢のアスリートが世界で活躍し、政治面でも経済面でも世界をリードしています。 しかしながら、負の面を見てみると、バブル崩壊・リーマンショックによる株価の暴落、大企業の品質不正問題、経営陣の権力闘争の果ての経営破たん、トランプ政権による世界的な政治・経済の混乱など、枚挙にいとまありません。そして、ゴーン前会長の私的利益流用事件…。

 

私はかねがね申し上げてきましたが、政治にしろ経済にしろ、それは人が作り上げ動かしてきたものであり、それを引っ張る人達の想いが結果を良くも悪くもするものなのです。私利に走るか他利を優先するかで結果は大きく異なります。それが経営者のまたはリーダの倫理観です。 日本には数百万の企業が存在しますが、年間3万5千社が倒産しています。企業の平均寿命は約23年、100年続いている企業は約3万社といわれています。この中には旧財閥系の大企業も含まれますが、多くは伝統に裏打ちされた中小の老舗です。

 

つい先日、創業147年のガス・水回りのリフォームを得意とする地元密着型のリフォーム専門店が企画した「愛と感動のバス旅行」に参加してきました。これは日頃愛顧してもらっている顧客と深い絆を作っていくために年1回開催する会費制の旅行ですが、社長以下社員が半年以上かけて知恵を出し合い手間ひま惜しまず心を込めて作り上げたおもてなしのイベントです。行く先々で、社員がバスから降りる顧客を笑顔で出迎え、散策の時には路の辻々に社員を配置して道に迷うことの無いように配慮し、食事会場では心温まる出し物を演出するなど、顧客の心を虜にする旅行でした。

 

この企業は、コーポレートスローガンとして4つの約束をしています。 お客様に対する幸づくりの約束。志高く誇りある素晴らしい会社を作る従業員同士の約束。自分が成長することにより会社に貢献するという会社への約束。そして地域社会や関わる全ての方々へ約束する、人と社会への貢献。 社長が自ら先頭に立って、地域に役立つ企業づくりに励むこの企業(*)は、地元の人々に頼りにされて急成長を続けています。 (*)株式会社桶庄

 

 

 

2018327日〉

 

安倍政権が森友決裁文書の改ざん問題で、窮地に立たされています。

内閣支持率は3月現在で31%にまで急落し、絶対視されていた総裁3選も怪しくなって来ました。

そもそも安倍首相夫妻に忖度してきた財務官僚に対し、悪者はお前だと言わんばかりのトカゲのしっぽ切りでやり過ごそうとした政権の甘さと、国民無視の姿勢がこの事態を引き起こしたものと思われます。

霞が関は安倍首相にたてつくものは左遷され、忖度するものだけが出世または生き残る摩天楼に成り下がっているといった報道もあるくらいです。

 

国による公文書の不祥事は、加計学園の内部文書や防衛省南スーダンの日報の隠蔽、古くは厚生省エイズ関係内部資料の隠蔽など多数に上りますが、今回のように決済された公文書を300か所以上書き換えていたなど前代未聞の不祥事には驚きと失望感すら覚えます。

民間企業では、決算や品質上のねつ造やデータの書き換えなどで、国民の信頼を損ない、会社そのものが存亡の危機に陥ったり、経営者が辞任するなどに発展する事例が立て続けに発

生していますが、国民や企業に対し指導的立場の国が不正を働いていたのですから、国民の落胆は計り知れないものがあります。

 

さて、いわゆる忖度とはどのようなときにどのように行われるのでしょうか。

トップが絶対的な権力を持ち自分が絶対だと思っていて、物事に対する考え方、行動パターンが強圧的で固定化されている場合、部下はある事象が発生するとトップのご意向を確認するまでもなく、自分の手柄としてトップに認めてもらいたい一心で、あることを実行してしまうのです。それは、結果的に、自分の保身、出世のために行われます。部下はさらに部下に命じ、組織ぐるみの行動に発展します。

この様に考えると、企業の不正もいきつくところ、忖度がどこかで行われた結果と言えなくもありません。

 

不正を防止する壁は幾重にも築いておかねばなりませんが、その一つに、経営トップの倫理観があることを忘れてはなりません。

 

 

 

2018124日〉

 

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて年明け早々、株価はうなぎのぼり。あっという間に日経平均は24千円に到達し、まだまだ上昇の傾向を示しています。建築、鉄鋼、電機、製造業が堅調で、モノづくり日本の底力を感じますが、それらリーディングカンパニーの談合、品質不正問題なども、新聞紙上をにぎわせています。

 

今回も品質の不正が起きる本質は何処にあるのか考えていきたいと思います。

品質の不正は大きく分けて

(1)組織の積極的関与

(2)組織の無関心、無責任体質

(3)組織の無知

(4)経営者の現場無視

で起きると考えられます。

 

組織の積極的関与は、組織そのものが、人手不足、コスト優先、納期優先のあまり、多少の基準値外れに目をつぶり、改ざんや、やってもいないデータのねつ造を裏マニュアルや不正指南書に基づいて行ってしまうもの。神戸製鋼、三菱マテリアル系列会社、東レの不正などがその例でしょう。

 

組織の無関心、無責任体質とは、品証、検査部門の担当が行う検査データがどんなものか意に介さず、上司がただハンコを押して形だけ整えている組織。

検査員の仕事の内容が評価されなければ、検査に手抜きが生じたり、勝手な判断が入り込む余地は大ありです。いつもやっている検査員がたまたま休暇をとったため、代わりの検査員が検査をしたところ、検査データの不正を発見したとの報道がつい最近ありました。

 

組織の無知とは、法律や通達が変わっているにも拘らず、組織が変更点を意識しないで旧態依然の試験方法を続けてしまったり、不適切な試験装置で検査してしまうといったもの。三菱自工やスズキ自工の燃費不正問題がその例でしょう。

 

それでは、技術立国日本で、なぜデータ不正が起きるのでしょう。

本来、設計が正しく、使用する材料が正しく、使用する治工具や行程手順がマニュアル通りに行われていれば、正しい品質のものができるはずです。ところがコスト優先で実力以上の品質が要求されると安全率の余裕がなくなり、製品のばらつきによっては基準値を外れるものが出てしまいます。本来ならば、基準値を外れたものは、不良品として廃棄しなければなりませんが、歩留まり率が、採算性に影響を及ぼすため、品証部門でデータねつ造や改ざんによる救済が行われてしまうのです。

 

燃費不正の根源は、実力がないにもかかわらず、経営者が高い目標燃費を強制し、実力を知っている設計、品証部門が、結託してねつ造データの取得に心血を注いだ悲劇でもあります。

 

こうしてみますと、これら不正を防止できるのは、やはり権力を握っている経営者並びに経営幹部ということになります。日本の経営者は、ほとんどが下から上り詰めたサラリーマン社長や取締役です。本来は現場を知っていたはずなのに、どうして現場を見て見ぬふりをするのでしょうか。

品質だけでなく、経営そのものは人が作り上げるものです。

経営者たるもの、「その動機、善なるか」を常に心して経営にあたっていただきたいものです。

 

 

 

〈20171210日〉

 

128日に東芝元社長の西田厚聡さんが心筋梗塞で亡くなられました。再三の経営危機を乗り越えて東芝を再建されてきた御功績は計り知れないものがありますが、現在の東芝の経営危機の元凶をおつくりになった方の一人とも目されていましたので、大変なご心労がおありになったのではないかと思います。心から、お悔やみ申し上げます。

 

さて最近、大企業の品質上の不正が相次いで見つかり、日本のモノづくりに警鐘が鳴らされています。顧客との間で取り交わした品質の約束を果たせないまま、納品データを改ざんして出荷したり、不正な計測方法で品質検査を行っていたケースが相次いで発覚しています。

 

品質とは、製品の製作技術だけでなく、正しい経営の在り方、正しい営業のあり方、企業統治等に求められる、社会的理念に基づく正しい仕組みの結果を反映するものだと考えます。

 

その仕組みの一つに多くの企業が取り入れているISO9001(品質ISO)があります。

経営を含めた企業全般の品質をより高めるために応用される国際規格ですが、使い方をあやまると企業活動そのものが形骸化してしまう、諸刃の剣でもあることを認識している方がどのくらいいらっしゃるでしょうか。

 

多くの規格はまず、マニュアルを作成することが要求されます。そして、ひたすらそのマニュアル通りに行動することが要求されます。マニュアルから外れていれば不正となります。したがって、何も考えずにひたすらマニュアル通り行動します。マニュアルにない事象が発生したら、新たなマニュアルを作る必要があります。そこに、裏マニュアルができる素地が生まれます。そして、裏マニュアルも、ひたすら考えることなしに、引き継がれていきます。裏マニュアルを実行していた人が偉くなっても、不正をただすことはありません。

 

それが今、大企業に起きていることなのです。

でもそれは氷山の一角にすぎません。文字になっていないルールを継続して使っている企業は意外に多いのではないでしょうか。そこに、社会的には不正である行為が、誰の目にも止まらずに行われる温床があると思われます。

 

どうか、経営者の皆さんは、今一度各工程に任せている実態を再検証していただき、自信に溢れた経営を続けていただけたらと思います。

 

 

 

〈2017112日〉

 

長い歴史のある企業の品質に関わる不祥事が相次いでいます。

それも現代社会の常識ではありえない不祥事、データーの改ざんや無資格検査員の最終検査、国の基準を外れた燃費計測など、日本のモノづくりの根幹を揺るがす事態が発生しています。

その結果は、大リコールにつながり、企業の経営そのものを危うくしています。そのような商品、製品を購入、採用した顧客の迷惑は計り知れないものがあります。

 

その一方で、昨日の新聞折り込み広告には、「引き続き探しています」と大書きして、30年以上前に販売した不良暖房機の引き取りと注意喚起を呼び掛けている企業もありました。

 

日本は今でこそモノづくりNo.1、品質No.1の地位を占めていますが、終戦直後は、安かろう悪かろうの商品を造って、それで国民も耐えてきました。

品質は二の次という文化が芽生え、私がまだ若かりし頃は、商品の不具合率が5〜10%でも国民はあまり文句を言わない時代でした。

顧客が不具合で販売店に持ち込んでも、直してやるといった態度で、なかなかクレームを認めないといった雰囲気もありました。クレームを認めるとサービス費用=経費が掛かり、企業の損益が悪化するからです。

損益向上のためには、企業のサービス部門や品証部門の責務は、クレーム率の低減や歩留まり率の向上であり、その結果、適正なクレーム判定が行われなかったり、工程の検査が甘くなったりといった弊害が生じたものでした。

 

時代も流れ、人々が、そして社会がより安全な、より高品質な商品を望むようになり、大多数の企業がそれに応えるように企業体質、企業文化を変革してきました。

しかしながら、前述の企業は、何十年にわたり不正を続けてきたとのことですので、残念ながら、悪しき企業文化が旧態依然のまま今日まで続いてしまったのでしょう。歴代の経営者の責任はあまりにも重大です。というより、コーポレートガバナンスの欠如としか言いようがありません。不祥事を起こした企業の経営者は等しく、自分は知らなかったと言い張りますが、経営者の生き様、倫理観や哲学が問われるところです。

 

 

 

〈2017年9月17日〉

 

アベノミクスの夢も遠ざかり、思ったほど事業が伸びずに悩んでおられる企業の経営者の方も、案外大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

その打開策として、新商品の開発や新事業への進出を考えていらっしゃる方もおられることと思いますが、新商品開発や新事業進出に伴う落とし穴について、お話ししたいと思います。

 

新商品の提案者はお客様と接している営業部門が案外多いものです。

競争他社が持っているあの商品が当社にはないので、わが社の商品が売れない。他社の性能が当社より勝っているのでわが社の商品が売れない。といった声が商品企画部門を動かして、同等の商品の開発をしてしまうことが多々あります。

でも、開発が終了し売り出すころには、その商品は衰退期に入ってしまっていたり、性能、機能、売価が他社と同等なので移動障壁のターゲットとなって、全く売れないということが多々起こるものなのです。

営業部門が一番ユーザのニーズを把握していることは間違いありませんが、営業部門は、今売れることに一生懸命であり、商品企画のプロではありません。

 

新たな商品のライフサイクルはどうなのか、真のお客様のニーズは何なのか、同業他社の販売戦略はどうなのか、今後の市場環境はどうなのか等の分析が、新商品に求められるQCDにつながると思われます。商品企画部門は、現場と乖離した商品企画をしては身も蓋もありませんが、現場からの熱い声に押されるだけではなく、十分に精緻な分析を行い、より付加価値の高い商品に育てる使命を負っているように思います。

 

もうひとつ、新事業進出の落とし穴を紹介します。

皆さんは、国際展示場などで開催される商品やサービスの展示会に行かれた方も多いと思いますが、そこには全く同等の機能や性能の商品やサービスを提供する企業がひしめき合っているのを目の当たりにされたことと思います。

世の中の経営者は、大勢の方が同じようなことを考えていて、その中でしのぎを削っているので、その中で埋没してしまっては敗者となってしまいます。

 

当社は先発優位性を保っているか、新事業の製品ライフサイクルの位置づけはどうか、戦略の優位性とターゲットをどこに置くか、等をしっかり見据えたうえで、新事業進出の決断をしていただきたいと思います。間違っても、衰退期直前の事業に飛びつかないようにしていただきたいものです。

 

 

 

2017年7月7日〉

 

大多数の企業で株主総会が終了しました。

好決算により、粛々と総会が進行した企業も多い中、怒号が飛びかい、やり切れなさだけが残った企業もありました。

経営に失敗して外資にとって代わられた企業や、競業企業に買収された企業なども総会の洗礼を受けました。

その中でもシャープや三菱自動車などは1年で業績が上向き、株価も徐々にではありますが、上昇しています。

東芝やタカタが今、大変な状況にある中、経営って何だろうと考えさせられます。

京セラの稲盛名誉会長がおっしゃっているように、「人間として正しい道を貫く」、「その動機、善なるか」を反芻する、そのものが経営なのではないでしょうか。

 

先日、地元のガス設備会社が主催するバス旅行に参加しました。

設備工事を受注した顧客の中から抽選で、約25家族が半額程度の料金で招待され、伏見の月桂冠博物館、たけのこ尽くし料理の錦水亭、伏見稲荷に連れて行ってもらいました。

高速道路のサービスエリヤで休憩にバスから降りるたびに、社長以下スタッフが歓迎の垂れ幕をもって出迎え、どの設備でも大勢のスタッフが、参加者が道に迷わないようにと道中の随所に配置されていてニコニコと案内してくれるし、錦水亭の食事の後は心温まるイベントがあったりと、参加者の心を鷲掴みにする素晴らしい配慮の観光旅行でした。

帰着後も数日後には、営業担当者が、当日の思い出のいっぱい詰まったDVDを持ってきてくれるなど、もはや参加者は、全員がこの会社のファンになったことと思いました。

この会社は、地元密着の中小企業ですが、ちょっとしたことでもすぐに担当者が飛んでくるし、どんな相談でも気持ちよく受けてくれるなど、社長と従業員の息がぴったりの会社です。

今回の旅行も、若い社員が心を込めて練り上げたものだということがすごくわかりました。

これが、地域の中で生きる中小企業のモデルではないかと、心が晴れ晴れとした思いです。

 

2017520日〉

 518日付のミラサポメルマガで、価格交渉ノウハウ・ハンドブック(新版20171月改定)が紹介されています。

内容は取引先親会社との価格改定(特に値引き要請)に伴う、不利にならない価格交渉のポイントを解説したもので、立場の弱い下請け企業にとっては、とても参考になる冊子です。

私も取引先親会社から幾度となく値引き要請を受けた経験から、値引き交渉の具体例を少し紹介したいと思います。下の例のように、値引き交渉は、親会社の一方的なものでは実現できず、双方の信頼関係と協力関係によって実現するものです。

 

1.  レヴェニューシェア(Revenue Share

値引き要請は、下請け企業にとっては、売上げ低下につながりかねず、できるなら現状維持を図りたいところです。そこで、買主、売り主双方の信頼関係の下で、VE活動を推進し、コスト低減効果を両社で按分する契約を結びます。こうすれば、双方が公平に利益を共有できることになります。

 

2.  VE提案

現状の品質、材質、機能、検査項目、形状に対し、評価基準の見直しを取引先に依頼します。双方の信頼関係と協力関係がなければ、適正な価格見直しができないことを、取引先に理解してもらいます。

 

3.  埋没コスト〈サンクコスト〉の補償

VE反映により、従来の型や治工具が不要になって、未償却コスト(埋没コスト)が発生することがあります。売り主、買い主は利害関係においては運命共同体の関係にありますので、埋没コストを両社で按分することが、公平で、両社の信頼関係をより強固なものにすることになります。

 

4.  目標コストが未達の場合

両社合同の検討会を実施し、場合によっては仕様変更や、材料の支給、一部部品の製造委託等の処置で、目標コストを双方の協力の下で実現させます。

 

 

〈20174月3日〉

 

トランプ大統領が窮地に陥っています。

イスラム圏からの入国禁止の大統領令が2度にわたり司法からNOを突き付けられました。

また、オバマケア見直しの法案も議会の賛同を得られないとして、提案を撤回しました。

大統領の迷走を司法、立法が退けたのですから、 米国の良識はまだまだ健全といえるでしょう。

 

翻って、我が国の企業ガバナンスはどうでしょうか。

経営者の判断ミスが、大きな経営危機を招いている例が随所に見受けられます。

東芝しかり、シャープしかり…。

 

上場していない中小企業はもっと深刻です。上場していればまだ株主の目が届きますが、非上場では経営実態が第三者に見えにくい事から、内部で何が起きているのか経営破たんするまでわかりません。社長一人の一存で何でも決まってしまう、又は決まらない危うさは見逃せません。

 

いかにして、社長に物が言えるNo.2、No.3を育て上げるかは社長の度量の大きさにもよります。社員を信じて、将来を語り合い、社員に将来の夢を実現する方策を考えさせて実行する、これで、社長はずっと楽になりますよ。

そういう社長さんを、私は応援します。

 

 

〈201736日〉

 

トランプ政権が発足して2か月余り。

世界各国で、メディアのトランプ大統領批判は下火になる兆しが見えません。

トランプ政権のフェイクファクト、オルタナティブファクトは自由奔放に飛び交い、各国政府は、真意を測りかねているところです。

 

ところでこのオルタナティブファクト、意味は「違った見方からの真実」ですが、実は日本の経営者の方も結構、無意識のうちに使っていらっしゃって、結果として失敗してしまうといったことがあるのです。

例えば、部下からの営業報告の内容が、たまたま気の合った経営者の飲み会で世間話程度に聞いた内容と齟齬があると、即座に「それは違う!俺はこう聞いている」と部下を否定し、裏も取らずに飲み会の話を鵜のみにしてしまって、営業損失を出してしまうといったことがあるのです。

 

部下の報告がどれだけ精度の高いものなのかを見極める方法は、真実の出所を少なくとも複数取ることです。精度の高い情報をもって、経営に当たりたいですね。

 

  〈2017年1月23日〉

   明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

トランプ政権が1月20日に発足し、世界中が、期待と困惑で渦巻いています。

先行きがどうなるか全く読めない不確実な状況の中でも、私たちは、会社を守り、社員たちを守って、この環境に立ち向かっていかなければなりません。

そこで今年から、私が40余年の経済活動で体験してきた、成功、失敗事例をご紹介し、さらには今日の経営環境の変化に対応した私の思いを皆様にお届けしたいと思います。

今回は、東芝、三菱自動車の不正が、経営者の一言によって惹き起こされてしまった事例であることをお話ししましょう。

東芝は、2008年のリーマンショック以降、過去最悪の赤字に落ち込み、以後歴代の社長は、利益を死守しろと指示し続けてきました。特に、東日本大震災の後は、決算までの3日間で120億円の利益を出すように圧力をかけられたこともあり、会社人間ばかりの組織が、見せかけの利益計上をし続けてしまったのでした。

燃費競争に陥っていた三菱自動車は、会長の、どうしても燃費でNo.1の地位を確保せよ、との指示に抗うことができず人、カネ、技術力の無い中、実験部門が、データ改ざんに手を染めてしまったのでした。

これらは、経営者の一言は絶対で、部下の無力感は計り知れないほど大きなものであった典型例ですが、中小企業や小規模企業では、経営者が全てを決めて、従業員は黙々と指示に従っているだけというところが多いのではないでしょうか。これでは、経営者の判断のみが絶対ですから、思い込みや思い付きでの経営は最悪です。

経営者がお山の大将になって、周りが見えなくなっていては大問題です。自ら考え提案できる人材を育て、社員に権限と役割を与え、会社全体が健全な組織であることが必要です。